■書籍の内容 |
現代社会では、理性のみが重視され、感情(生活)は軽視されてきた。市場経済の原則――効率的な利潤追求――に否応なしに適応してきた結果である。感情生活は、合理的活動をかく乱するやっかいものとして従属的な地位におしこめられ、抑圧され、その結果として、諸個人の精神生活・対人関係・対社会的関係行為にさまざまな問題が引き起こされることになった。
このような、諸個人の、社会との関係にかかわる諸問題を分析するための社会学、それが「感情コミュニケーションの社会学」である。
■目 次 |
第1章 日常生活におけるミクロな人間関係分析の社会学の視角
第1節 理性と感情に関する理論
第2節 感情コミュニケーションの理論
――アダム・スミスの道徳感情論を基礎として――
1 アダム・スミスの道徳哲学の課題
2 アダム・スミスの道徳哲学の基礎としての人間観と道徳哲学の方法
3 アダム・スミスの感情コミュニケーション理論
第3節 現代社会における生活原理・社会関係原理と
感情コミュニケーションの諸類型
1 共感にもとづく感情コミュニケーション
2 損得感情(勘定)にもとづく感情コミュニケーション
3 疑心暗鬼の感情コミュニケーション
4 傲慢とルサンチマンの感情コミュニケーション
第2章 社会学的パーソナリティ論
――カレン・ホーナイの神経症的パーソナリティ論を中心に――
1 現代社会における人間関係の特質――山アラシのジレンマ――
2 市場経済社会の社会的特質――経済的淘汰システムとしての社会――
3 ガースとミルズの「性格と社会構造」論
4 リースマンの「他者指向」型パーソナリティ論
5 アドルノの権威主義的パーソナリティ論
6 ホーナイの神経症的パーソナリティ論
第3章 現代社会の社会変動と社会関係の変容、諸個人の精神生活の諸問題
第1節 現代社会における社会変動と社会類型
第2節 現代社会における生活諸領域の分節化と生活諸領域間の関係様式
第3節 現代社会の消費の場における生活・社会関係・個人の精神生活
1 市場経済社会と消費生活
2 戦後日本社会における消費生活の動向とその特質
3 ボードリヤールの消費的自我(エゴ・コンスマンス)論と
消費的自我の自律性の喪失の現状
4 現代日本における諸個人の消費行為・行動の特質と消費生活破綻の諸形態
第4節 現代社会の労働の場における生活・社会関係・個人の精神生活
1 市場経済社会における労働生活の社会的性格について
2 有賀喜左衛門の日本の生活および生活にかかわる社会関係の文化論
3 戦後日本における企業(会社)と個人・企業内人間関係の社会的特質
4 日本の労働者の会社への情緒的コミットメントを動員する社会的装置について
5 日本企業の経営形態の再編成
――日本的経営からアメリカ的経営へ――と労働者たちの精神生活
第5節 現代社会の教育の場における生活・社会関係・個人の精神生活
1 近代学校教育制度成立期の児童労働と教育論
2 近代学校教育制度の社会的性格とその制度の下における
人間関係・社会関係の特質
3 学校教育制度の下における教師‐生徒間関係・生徒間関係の特質と
生徒たちの精神生活
第6節 現代社会の家庭という場における生活・社会関係・個人の精神生活
1 家族とは――家族的人間関係の特質に焦点をあてて――
2 現代家族の存立様式の特質について
3 現代家族における権力関係について
4 企業社会と家族
5 学歴競争主義的学校教育と家族
6 親たちの経済的・精神的生活苦と親子関係
結語 「共感」に基礎をおいた感情コミュニケーションが
豊かに発展する社会のあり方を求めて
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■著者について |
札幌学院大学人文学部教授
1950年茨城県生まれ
1976年東北大学教育学部卒業
1981年東北大学教育学部助手
1989年より札幌学院大学人文学部(社会学)
著 書
『理性、感情、諸個人の自律――ホープ氏の道徳知の理論――』創風社、1996年
『生活の公共性化と地域社会再生』(共著)アーバンプロ出版センター、2003年
『地域形成の思想』(共著)アーバンプロ出版センター、2007年
『地域産業の構造的矛盾と再生――北海道・東北・沖縄と英国の事例研究――』
(共著)アーバンプロ出版センター、2007年
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